01
相続人が認知症だったら相続手続きはどのように進める?
認知症の方は意思表示が難しいため、遺産分割協議や手続きが複雑になるケースがあります。
この記事では、認知症の相続人がいる場合の相続手続きはどのように進めればいいのかを紹介していきたいと思います。
相続人が認知症の場合には遺産分割はできない
相続人が認知症の場合、意思能力があるかどうかが問題となります。
意思能力とは、法律行為を適切に理解し、判断する能力を指します。
意思能力がないと判断された場合、その相続人は法律行為である遺産分割協議に参加できません(意思能力がない相続人が参加した遺産分割は無効になります)。
そのため、認知症の相続人がいる場合は、家庭裁判所に後見人等を選任してもらう必要があります。
成年後見人等が認知症の相続人の代わりに遺産分割協議に参加することで、遺産分割協議を有効に進められるようになります。
成年後見制度を利用する流れ
成年後見制度を利用するための手続きは以下の流れで進めます。
- 申立人の状況・申立先の裁判所を確認
- 診断書の取得
- 必要書類の収集
- 申立書類の作成
- 家庭裁判所への申立て
- 面接と審理
- 審判と後見登記
- 成年後見人の仕事開始
後見人の選定までにかかる時間
早い場合、後見制度の申立てをしてから、1ヵ月~1ヵ月半です。
遅い場合には半年近くかかることもあります。
後見人等は誰が選任されるのか
基本的には、子や兄弟、姉妹など、親族が選任されます。
家庭裁判所への申立ての際に、弁護士などの専門家を候補者として伝えておくと後見人を弁護士が務めることも可能です。
ただし、最終的に後見人を決めるのは、家庭裁判所です。
なお、相続手続を見据えて成年後見制度を利用する場合、他の相続人である親族が後見人等として選任される場合があります。
この場合、後見人等として選任された親族は、相続人と後見人等の立場の利益が相反するため、認知症の相続人の後見人等として遺産分割協議に参加することはできません。
したがって、家庭裁判所に特別代理人の選任申立てを行うか、後見申立の際に、相続人ではない方を候補者として記載しておくと良いでしょう。
法定後見制度に必要な書類
以下が必要書類一覧です。
- 申立書類一式
- 戸籍謄本
- 住民票
- 後見登記をしていない旨の証明書
- 診断書
- 本人に関する書類
- その他、裁判所が求める書類
申立書類の取得方法は以下の3つです。
- 家庭裁判所のサイトからダウンロード
- 家庭裁判所の窓口で受け取る
- 家庭裁判所から郵送してもらう
認知症の相続人がいる場合の注意点
認知症の相続人がいる場合の注意点を紹介します。
手続きに時間がかかる
成年後見制度の申立てや選任には、数か月かかる場合があります。
そのため、相続手続きがスムーズに進まないことも想定し、余裕を持ったスケジュールで計画を立てる必要があります。
家族間のトラブル
相続人の間でトラブルが生じることもあります。
特に、財産の分配が不公平だと感じる場合や、後見人の判断に不満がある場合には感情的な衝突が起こりやすいです。
こうしたトラブルを防ぐためにも、専門家のアドバイスを受けることが有効です。
まとめ
認知症の相続人がいる場合の相続手続は、成年後見制度を活用し、法律的に適切な手続きを踏むことが必要です。
成年後見制度の申立てや遺産分割協議の書類作成など、複雑な手続きに不安がある方は、お気軽に王子総合法律事務所にご相談ください。
02
当事務所が提供する基礎知識
Main Business
-
離婚時の財産分与...
このページでは、離婚に関する様々なテーマのなかから、財産分与について詳しくご説明いたします。 ■財産分与とその種類財産分与とは、離婚時に夫婦が財産を分け合うことをさします。財産分与がどのような意味合いを持つ制度 […]
-
遺留分侵害請求を...
■遺留分侵害額請求とは遺留分とは、相続人が遺産を相続する際に主張できる最低限の取り分のことをいいます。相続の結果、他の相続人が自己の遺留分を侵害して相続をしている場合には、遺留分を侵害された相続人は遺留分を侵害した相続人 […]
-
遺産相続手続きの...
■被相続人の死亡後3か月以内に行うもの被相続人の死亡後3か月以内に行うべき手続きとしては、①遺言書の検認、②相続人・相続財産調査、③相続放棄・限定承認があります。 ①遺言書の検認被相続人が自筆証書遺言を作成して […]
-
王子・赤羽・川口...
■遺言書を公正証書で作成する遺言書には、自分で作成する自筆証書遺言や、自分で作成した遺言の存在を証明してもらう秘密証書遺言といった方式があります。なかでも、公正証書によって遺言書を作成する方式である公正証書遺言は、遺言形 […]
-
遺言書の種類につ...
■遺言書とは遺言書とは、自分の死後に行われる相続に関して、生きている間に意思表示をしておくものです。遺言書を残しておくと、自分の死後相続が発生した際にその遺言の効力が生じ、自分の意思表示が相続に反映されることになります。 […]
-
離婚時の親権の決...
離婚時には、お金のことだけでなく、子どもについても争うことになります。特に、親権をどちらかが持つのかについて争うケースは少なくありません。しかし、一般的には、育児において母親の役割が大きいとされ、母親が親権を持つことにな […]
03
よく検索されるキーワード
Search Keyword
04
弁護士紹介
Lawyer

弁護士益谷 元也(ますたに げんや)
私は東京・城北地方や埼玉・南部を中心に、相続、離婚、法人案件のご相談を承っています。
弁護士に相談をすることは、敷居が高いと思っている方も多いですが、当事務所は初回相談を無料で承っておりますので、1人で悩みを抱えず、お気軽にご相談ください。 どうぞ、よろしくお願いいたします。
- 所属団体
- 第二東京弁護士会
- 仲裁センター運営委員会所属
- 経歴
- 2003年:早稲田大学附属本条高等学院卒業
- 2007年:早稲田大学法学部卒業
- 2010年:北海道大学法科大学院卒業
- 2011年:司法試験合格(65期)
- 2013年:弁護士登録
05
事務所概要
Office Overview
事務所名 | 王子総合法律事務所 |
---|---|
弁護士 | 益谷 元也(ますたに げんや) |
所在地 | 〒114-0022 東京都北区王子本町1-24-3アバンスビル2階 |
TEL/FAX | TEL:03-5948-9041 / FAX:03-5948-9042 |
営業時間 | 10:00~19:00(時間外の対応については応相談) |
定休日 | 土日祝日 |
アクセス | 王子駅(京浜東北線,南北線,都電荒川線)徒歩3分 |