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相続人が認知症だったら相続手続きはどのように進める?
認知症の方は意思表示が難しいため、遺産分割協議や手続きが複雑になるケースがあります。
この記事では、認知症の相続人がいる場合の相続手続きはどのように進めればいいのかを紹介していきたいと思います。
相続人が認知症の場合には遺産分割はできない
相続人が認知症の場合、意思能力があるかどうかが問題となります。
意思能力とは、法律行為を適切に理解し、判断する能力を指します。
意思能力がないと判断された場合、その相続人は法律行為である遺産分割協議に参加できません(意思能力がない相続人が参加した遺産分割は無効になります)。
そのため、認知症の相続人がいる場合は、家庭裁判所に後見人等を選任してもらう必要があります。
成年後見人等が認知症の相続人の代わりに遺産分割協議に参加することで、遺産分割協議を有効に進められるようになります。
成年後見制度を利用する流れ
成年後見制度を利用するための手続きは以下の流れで進めます。
- 申立人の状況・申立先の裁判所を確認
- 診断書の取得
- 必要書類の収集
- 申立書類の作成
- 家庭裁判所への申立て
- 面接と審理
- 審判と後見登記
- 成年後見人の仕事開始
後見人の選定までにかかる時間
早い場合、後見制度の申立てをしてから、1ヵ月~1ヵ月半です。
遅い場合には半年近くかかることもあります。
後見人等は誰が選任されるのか
基本的には、子や兄弟、姉妹など、親族が選任されます。
家庭裁判所への申立ての際に、弁護士などの専門家を候補者として伝えておくと後見人を弁護士が務めることも可能です。
ただし、最終的に後見人を決めるのは、家庭裁判所です。
なお、相続手続を見据えて成年後見制度を利用する場合、他の相続人である親族が後見人等として選任される場合があります。
この場合、後見人等として選任された親族は、相続人と後見人等の立場の利益が相反するため、認知症の相続人の後見人等として遺産分割協議に参加することはできません。
したがって、家庭裁判所に特別代理人の選任申立てを行うか、後見申立の際に、相続人ではない方を候補者として記載しておくと良いでしょう。
法定後見制度に必要な書類
以下が必要書類一覧です。
- 申立書類一式
- 戸籍謄本
- 住民票
- 後見登記をしていない旨の証明書
- 診断書
- 本人に関する書類
- その他、裁判所が求める書類
申立書類の取得方法は以下の3つです。
- 家庭裁判所のサイトからダウンロード
- 家庭裁判所の窓口で受け取る
- 家庭裁判所から郵送してもらう
認知症の相続人がいる場合の注意点
認知症の相続人がいる場合の注意点を紹介します。
手続きに時間がかかる
成年後見制度の申立てや選任には、数か月かかる場合があります。
そのため、相続手続きがスムーズに進まないことも想定し、余裕を持ったスケジュールで計画を立てる必要があります。
家族間のトラブル
相続人の間でトラブルが生じることもあります。
特に、財産の分配が不公平だと感じる場合や、後見人の判断に不満がある場合には感情的な衝突が起こりやすいです。
こうしたトラブルを防ぐためにも、専門家のアドバイスを受けることが有効です。
まとめ
認知症の相続人がいる場合の相続手続は、成年後見制度を活用し、法律的に適切な手続きを踏むことが必要です。
成年後見制度の申立てや遺産分割協議の書類作成など、複雑な手続きに不安がある方は、お気軽に王子総合法律事務所にご相談ください。
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弁護士益谷 元也(ますたに げんや)
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- 所属団体
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- 仲裁センター運営委員会所属
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- 2003年:早稲田大学附属本条高等学院卒業
- 2007年:早稲田大学法学部卒業
- 2010年:北海道大学法科大学院卒業
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- 2013年:弁護士登録
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